プライド / 一条ゆかり

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Posted on 11th 2月 2011 by emergent in 読書

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少女漫画です。2月の最初はこればっかり読んでました。私の中での「これぞ少女漫画」というイメージにここまで合致した漫画は正直初めてでした。

オペラ歌手を目指し音大に通う麻見史緒は、彼女の自宅にハウスクリーニングのアルバイトで同じく音大生の緑川萌と出会い、そこから様々な場所で再会し、対立や時には協力しながら波乱の生活を送ります。お嬢様で自分の芯をしっかり持っている史緒とは対照的に、苦学生だった萌は次々に襲い来る不幸に苦しみつつも、少ないチャンスを得るためには手段を選ばないという性格。しかし、偶然同じ場所で働くことになったクラブ『プリマドンナ』での、ピアノ・池之端蘭丸を含めた3人での演奏が好評を博し、相性が最高であることを知りSRMとして活動をともにすることで切っても切れない間柄に。クイーンズレコードの副社長で史緒の婚約者でもある神野隆も交え、世界中を舞台に複雑な人間模様を描いた作品です。

あらすじを書くのは難しいですね。これまで私はのだめを皮切りに二ノ宮知子の作品は結構読んだのですが、彼女の作品はどこかあっけらかんとしていて誰でも読みやすいものであると思います。そういう意味で、本作のような、女性同士の内面のドロドロしたところの描写を前面に出した作品は衝撃的でした。

萌っぽい顔私が気に入っているのは、萌が不幸にさらされて怒りや落胆を表現するときの表情です(参考:右図)。正直、こんな表現はネタでしかないものとばかり思ってました。少年漫画や萌え系の絵ではありえないような繊細な線で描かれる絵は、最初はなかなか慣れなかったのですが、ストーリーと相俟ってその世界に引き込まれていったというのが感想です。冷静になるとそれってどうなのと思ってしまうラストへの流れも、すっかり浸っていた私は何故か涙してしまうという事態に。誰にでもおすすめしたい作品ではないですが、一度読んでみる価値はあると思います。

ところで、いつもお世話になっているWikipediaで調べると、どうもこの作品も映画化されているようですね。最近は漫画原作の映画がすごく多いのですが、私は原作を先に読むと映画やアニメには興味が出ないのです。それはやはり、より情報が少ない原作の中で想像力によって補完されていた部分が、顕在化する際に自分のイメージと乖離してしまう場合が多いためにがっかりすることが多いのだと思っています。


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