メディアが東北関東大震災一色になっている中、私は本を読んでいます。
東京で地震に会い翌日千葉までなんとか帰ってきて、家族親戚の無事を確認し、義援金の寄付を済ませました。そのあとで私のすべきことは、津波の映像を何度も見返して悲しい気持ちになることでも、原子力発電所についてあれこれ思索することでもなく、少しずつ情報を得ながら節電に協力するだけだと判断したからです。
前置きが長くなってしまいましたが、本書は以前読んだ「容疑者Xの献身」「予知夢(本サイト内ページ)」探偵ガリレオシリーズの最初の作品。
先に続編を読みレビューも書いたのですが、それと同じくオカルト的な現象による殺人事件を科学的に解明していく短編が複数話収録されています。
奇妙な事件が起こり、草薙警部が友人の湯川助教授に相談しながら事件を解決に導いていくというパターンは各話共通。
元メーカーの技術者の作者が工学的な知識を活かして作るトリックは、理系出身者ならどれもニヤリとしてしまう手法で行われます。それらを実験を通して解明してく湯川のアプローチは、小説を読んでいるようで懐かしい知識を掘り起こすような新鮮な刺激となり、さっぱりした読後感を与えてくれます。
ドラマにもなるくらいなので理系出身者以外にもきっと馴染みやすい作品だと思います。小説をあまり読まない人にもオススメしたい一冊。