しばらく東野圭吾ばかり読んできたので、ここらで久しぶりに伊坂幸太郎作品をば。親子兄弟の絆について考えさせられる作品。
遺伝子に関わる仕事をしている泉水と、落書きの除去業者をやっている春の兄弟。諸事情により二人の血は繋がっていない。あるとき、二人の住む町の周辺で奇妙な連続放火事件が起こる。二人と入院中の父が事件の真相に迫ろうと、事件に散りばめられた謎を追う。
絆なんていうと陳腐な表現だと思いますが、でも敢えてそう表現したくなりました。たくさん伏線を張り巡らせたあとで一気にそれらを回収する。それでいて、青春っぽい爽やかな結末につなげていく。この作者の作品はどれも、上手さの奥に爽やかさが付いてくる、と感じます。
がちがちの推理ミステリーを立て続けに読んだ後での本作なので、最初はやはりテイストの違いに戸惑いましたが、それはそれ、これはこれ。同じ作者の本を立て続けに読むのではなく、色々おりまぜて読むのが良いと思いました。